最後の大島航路

 今般COVID-19の感染対策のために伊豆諸島の多くの島で来島自粛要請が出される中でのさるびあ丸2の大島航路最終航海となりました。一方で新たな生活スタイルでの観光再開も始まっています。そのため今回の航海はマスク着用、手の消毒その他対策を取り、さるびあ丸2からは下船しないで往復しています。これから夏を迎え観光シーズンとなります。感染対策した上で伊豆諸島を楽しめることを願ってやみません。

ここから本文です。お久しぶりです。副代表の浅沼です。伊豆諸島航路に就航して28年、東海汽船大型客船さるびあ丸2が大島航路引退の日を迎えました。思い入れの多い方も多いことと思います。私も思い返せば、私と同じ平成4年生まれの船で東京と島の行き来に今まで何度乗ったことでしょう。初めて作った船員手帳はこの船でした。今回はそのさるびあ丸2大島航路最終航海のレポートです。
※新旧さるびあ丸を区別するため、この記事では現さるびあ丸を「さるびあ丸2」新さるびあ丸を「さるびあ丸3」とします。

その前にさるびあ丸2のおさらいです。全長120.54m型幅15.2mの1992年12月25日に就航した5,000t型貨客船で今年就航28年目を迎えました。主に大島航路(竹芝-伊豆大島-利島-新島-式根島-神津島)で運航されてきました。夏場は東京湾納涼船、また東京湾夜景航路(横浜大さん橋-竹芝)と気楽に乗ることの出来る船でした。夏場の混雑時は「難民船」と称されるほどの混雑で指定席のない「席なし」で外部デッキやエントランスを埋め尽くす夏の風物詩。白い船体にクルーザースターンの美しい船です。それでは船旅に戻りましょう。

 6/6 21:30過ぎ、雨の中での乗船が始まります。船内は空いていました。22:30係留索が離されゆっくりと岸壁を離れ、東京港竹芝桟橋を出航します。目の前に見えるレインボーブリッジは東京アラートの赤に染まっていました。船はコンテナターミナルを通過し、東京湾を南下し行きます。

翌6/7 04:00大島沖で停止したさるびあ丸2を歩いて回りました。夏場は足の踏み場もないAデッキ後部が静寂に包まれています。納涼船では狭く感じますが、今日は広々しています。サニーガーデンは雨のため閉鎖されていました。天気は曇り、薄霞んでいて不安な天気です。

 下りの利島も無事就航。天気はやや風がありますが、凪ぎの部類です。あとは太陽が欲しいところです。新島・式根島と船は淡々と進んでいきます。式根島を出航して少しすると小さく見えて来ました。さるびあ丸3は橘丸と姉妹船ですが、カラーリングが異なり白ベースに紺の波模様となっています。船首にはバウマークがないことが特徴です。デッキ上では歓声が上がります。

 アンカーしているさるびあ丸3を横目に神津島前浜港に入港です。桟橋にはさるびあ丸2とのお別れのため島民が集まっています。さるびあ丸2船長が28年間の安全運航と島民への感謝を述べます。島民に見送られいよいよ出港です。長く汽笛が響きます。この日は特別に2つある汽笛両方が鳴り響きます。桟橋先端をかわし左舷後方にはさるびあ丸3は並走します。

 式根島では太鼓に迎えられ接岸です。胸が熱くなります。ふと振り返るとちょうど連絡船にしきが入港します。にしきとはこれが最後の別れです。新島前浜港ではフラダンスでお見送り、フェリーあぜりあがUW旗を掲げさるびあ丸2を反航しました。利島は高台からオレンジの旗を振ってお見送り。どの島も温かいお見送りでした。

  利島から先行して大島元町港に入港したさるびあ丸3を追いかけ北側岸壁に接岸しました。大勢の方に見届けられセレモニーが行われました。両さるびあ丸は同時出港です。大量の紙テープをひきながら汽笛が響きます。

今後の運航は三八航路(竹芝-三宅島-御蔵島-八丈島)の僚船橘丸ドックのため三八航路で毎日運航されます。最終航海6/26となっています。その時の様子もお伝えできればと思います。お楽しみに!